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八ッ場ダム問題を考える [日本の政治、世界の政治]

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民主党のマニフェストで群馬県の八ッ場(やんば)ダム建設中止を受けて地元住民との対立が取りざたされています。
ある読者の方から通常行政が工事を強行して住民が反対するケースがほとんどなのになぜ反対する事に地元が反発をしているのですか?という質問がありました。
私も当初その事に対して疑問を抱いていましたが、色々調べて行きますと過去の色んな経緯がありました。
そもそも八ッ場ダム建設は私が生まれる遥か前の昭和24年(1949年)に国土交通省が事業主体で『利根川改訂改修計画』の中に盛り込まれ、水害から東京及び利根川流域を守るために昭和27年(1952年)に計画発表されました。
日本で9番目の多目的ダム(洪水調整・不特定利水・上水道・発電)になる予定で平成27年(2015年)完成予定でした。
地元の観光資源として名高い温泉地である川原温泉や名勝の吾妻峡の一部が水没し、観光資源が喪失するので当初地元は建設反対の大合唱でした。
その後ダム建設反対派の町長が選ばれたりしましたが、行政も昭和55年(1980年)に地元の生活再建策を打ち出し立ち退きの補償基準や景観を守るために建設場所を移動したりし、後にダム建設賛成派の町長が選出され平成4年にダム建設推進を前提とした協定書が地元と建設省の間で締結されました。

補償基準妥結後、移転代替地の分譲を待たず多くの住民は地域から流出し、平成6年より建設のための道路工事が始まったそうです。
平成16年には二度目の計画変更を行い事業費が2100億円から4600億円に上昇
起債の利息含めると更なるコストがかかる可能性があり、近年ムダな公共事業との批判もあり、民主党もマニフェストでダムの中止を政権公約に掲げました。
なぜ、当初反対していた地元住民との対立があるかと言いますとこのような半世紀以上に渡る歴史に翻弄させられ、ようやく覚悟を決めて妥協をした矢先に中止とは一体あの苦悩は何だったのか?
住民をお上の都合で政争の具に利用されしかもダム建設着手時は自社さきがけ連立政権時、鳩山・管・前原氏(ともに新党さきがけ)も与党議員として賛成してきた人物だけに怒り心頭と言った所ではないでしょうか。

中止を前提とした話し合いなら結果が決まっている単なるガス抜きであって、仮に話し合いの結果中止になったとしても一旦白紙に戻して住民に詫びる事から話し合いを始めるのが筋ではないかと思います。
地元住民の思いとしたら政治家のあまりに身勝手な行動に怒るのも無理がないと思いました。
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コメント 4

J.& G.

八ッ場ダムに関するニュースが連日報道されてます。しかし、八ッ場ダムが建設される地元住民の言い分ばかりが報道されてますが、八ッ場ダム建設中止を主張している側(民主党ばかりではなく多くの建設反対運動、学者)の言い分が全く報道されてないのはおかしいです。建設反対を主張している人達の言い分をネットなどで捜してみますと概ね下記のような内容かとおもいます。この内容の正否をマスコミ報道の中心に据えるべきことである、と思います。
1.首都圏の水需要減少で水余り現象が実態。
2.このダムには治水効果はないことがあきらかになり、洪水対策は堤防等で足りる。
3.建設後も維持管理費がかかり続ける。
4.ダム建設自体が環境破壊でもあり、また、ダムで砂がせき止められると海に砂が不足し海岸が浸食される。それを防ぐための工事費も海岸沿いでかかる。これがまた、環境破壊となる。
5.本体建設費も現時点では620億円といわれるが工事が始まれば増額されるのが常。ここの地盤が弱いとの指摘もあり、とんでもなく追加される可能性がある。
参考URL:
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col200099.htm

建設する場合にも建設中止になる場合であっても国民の税金が使われるわけですから、マスコミは論点をしっかりと整理して国民に情報を発してほしいと願います。中止の場合には、住人に対しての適切な補償はなされる必要があります。
私は、以前、都心に小さな住居を所有し、バブルの頃、毎日のように地上げ業者が訪れ、土地建物を売ってくれ」と言われた経験があり、結果、相場とはかけ離れた高金額で売却しました。その頃のマスコミの論調は「地上げ業者は悪者、そして、地上げ対象となる住民は被害者」でした。「はじめに報道のシナリオがあり、それに沿った報道しかなされてない」と当時、滑稽に感じてました。当事者の一人としては「毎日、土地値がつり上がってゆく」のはとてもワクワクさせられるものだったからです。多くの住民もそうだったと思います。今回、ダムを建設するにしろ、中止するにしろ税金が投入されるわけですから、マスコミは国民に客観的に問題点を知らせる必要があると思います。短絡的な感情に流されないマスコミ姿勢であってほしいと思います。
by J.& G. (2009-09-24 11:35) 

kochan

j.&p.さん
確かにおっしゃる通りだと思います。
マスコミは前原国土交通大臣が地元住民と対立して孤立している映像がどうやらほしいようです。
反対派の根拠や推進派の根拠、建設経費の追加予算や完成後の維持管理経費の費用対効果等もはっきりと示してほしいと思います。
亀岡の隣町南丹市の日吉ダム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E6%9C%A8%E3%83%80%E3%83%A0
の時も水没する住民に多額の補償金(億の金?)が支払われ蔵付の御殿の住宅地が分譲されましたが、多くの家主は維持管理費に悲鳴をあげて結局家を売って出て行くケースも多々ありました。
マンション建てた人もいますが。
ただ日吉ダムは複合温泉施設として「スプリングスひよし」を建設し、温泉・プール・体育館等を備え、広大な芝生を植えキャンプ場や公園等を整備。日吉町郷土資料館や京都府民の森等もダム近辺に整備、また天若湖は関西北部屈指の釣りスポットとして有名でダムを利用した町興しに成功したと言えるでしょう。

『地上げ業者が悪者住民は被害者』実際は?興味深い当事者ならではのコメントは実にリアルですね。
良い勉強になりました。
ありがとうございます。
by kochan (2009-09-24 19:26) 

アルマジロ

全国のダム工事について、国土交通省が出している費用対効果の数値に対して今一度精査して、客観的かつ明快な建設可否の基準を数字で出すべきでは無いでしょうか?
埼玉県議会は、民主党系の上田知事が中止反対をとなえ、民主党系県議会議員もまっぷたつです。
県議会自体は、建設中止反対を決議してます。
私は埼玉県在住ですが、上田知事の説明によると利水面で問題が生じるそうです。
by アルマジロ (2009-10-21 23:55) 

kochan

正直、ダム工事、空港工事は利権の温床となっています。
多くの年月と費用がかかり時間の経過とともに費用対効果も変化してゆく事も事実です。
国民もおかしなもので生活レベルの話になれば過剰に反応し、一定金額を超えれば高いのか安いのか分からなくなってしまいます。
航空機やミサイルの値段が分からないのと同じでそこがみそなのです。
私も経験ありますが互助会組織に8000万公費が充てられているといってもピンと反応しませんでしたが、職員が誕生日に亀岡牛のプレゼントをもらっていると分かれば過剰に反応しました。
そんなもんです。

ダムではありませんが本市も市立病院がほしいか否かで病院を建設しましたが、どこの自治体病院も赤字が当たり前で財政を圧迫しています。
ほしいか否かではなく本当に必要なのか否かを建設する前に市民に費用対効果を説明すべきでした。
赤字覚悟は当初より試算されていましたし、近くに救急病院が2つあることを踏まえれば費用対効果を示せば結果は変わっていたかもしれません。
腹が立つのは病院建設に賛成した議員が今となっては赤字経営を議会で追求をするのは姑息だと思います。

おしゃるとおり現状に合わせた賛成・反対各方面の示す費用対効果を有識者を交えて情報公開をし議論すべきでしょう。
分かりやすく説明すべきです。
by kochan (2009-10-22 07:50) 

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